9月の連休は、雨続きの夏の鬱憤を晴らすに最適な素晴らしい3日間になりました。
今回の山行は「出合から遡行しての滝谷4尾根」プラン。
長時間の行程に加え雪渓の処理やいやらしい高巻き、滝登りをこなして
滝谷4尾根を登る非常に負荷の高い充実プランです。
やる気満々のお客様は、それに満足することなく時間が許せば、
ドームの中央稜、更にはドーム西壁まで登ろうというガイド山行としては
ちょっと有り得ない様なハードな計画での入山でした。
滝谷出合からの遡行は、9月でも残雪豊富です。まずは、雄滝を慎重に越えていきます。
雄滝の上からはアイゼンに履き替え雪渓登り。滑滝手前で切れた雪渓の処理で巻いたり、潜ったり
緊張感のある複雑なルート取りで進んでいきます。滑滝は左岸をクライミングですが
2泊分の幕営装備を背負っての登攀は中々の厳しさです。
滑滝周辺はゴルジュ状に両岸が切り立ち、素晴らしい雰囲気。
この後も、小滝やスノーブリッジを処理しながら長時間行動を続けやっと、今日の目的地スノーコルへ。
今日はここでビバークです。
「滝谷のど真ん中で一度ビバークがしたいのです」という、お客様の一つ目の希望でした。
翌朝、早朝から滝谷4尾根の登攀開始です。振り返ると遡行してきた滝谷が出合まで見下ろせました。
ルート上に入ってしまえば、昨日までの不安定な浮石や雪渓の処理、
複雑なルートファインディングは不要で、気持ちよく登攀。
滝谷らしいロケーションを楽しみながら進みます。
それでも全装備を背負ったクライミングは負荷の高いクライミングでした。
懸垂下降を経て最後のカンテを登れば、縦走路は目の前です。昼過ぎに4尾根の登攀を終了しました。
天気に恵まれた3連休とあって縦走路は大渋滞です。
次なるルートは、静かになった午後のドーム中央稜。4尾根は脆い箇所も多かったのですが、やはりこのルートは
硬くて本当に快適なルートですね。時折かかるガスも滝谷らしい雰囲気を醸し出してくれました。
お昼からの登攀でしたので他のパーティーもおらず貸しきり状態です。
前穂からは、夕日に染まる滝谷が奇麗でした。
久々に良い天気となった3連休。小屋は凄まじい混雑と予想して今回はテント山行です。
南稜のテント場にて、雲海広がる素晴らしいロケーションで一泊。
3日目は通常、下山するのみですが欲張りなお客様のご依頼で、早朝ドーム西壁を
登攀してから、下山するという計画です。本当に、モチベーションの塊のようなお客様。
ドーム西壁は東海山岳会ルートから上部を明瞭なクラックラインである同士会ルートにつなげました。
ドーム中央稜と比べ、はるかにマイナーで他のクライマーはいませんが強い傾斜と硬めの岩で
楽しいクライミングができました。5.9程度のクラッククライミングが中心となる登り応えの十分の
5Pでした。危険なC沢を避けて、安全に下降もできます。
滝谷ですから、ロケーションは最高です。
非常に充実した3日間を終えて、上高地に下山しました。
瑞牆で継続登攀して登りまくったトレーニングも役にたったと思います。
そして、毎週の様に厳しい山行を継続しているお客様の力に感心した3日間でした。
私としても非常に有意義な3日間となりました。ありがとうとございます。